自費専門である理由 ― 保険治療との決定的違い ―

当院が歯内療法(根管治療)を自由診療(自費)専門としているのは、「保険か自費か」という料金の問題ではありません。歯内療法は、診断・無菌化・精密操作・再感染防止までを一貫して高水準で行うことで初めて、歯の長期保存につながる治療です。そのためには、必要な時間・設備・材料・工程を確保し、症例ごとに最適化した治療設計を実行できる環境が不可欠です。本ページでは、当院が自費専門である理由を、保険診療との構造的な違いを踏まえてご説明します。

歯内療法は「時間」と「工程」が結果を左右する治療です

根管治療は、歯の内部(根管)という肉眼では見えない領域を扱い、細菌感染をコントロールして再発を防ぐ治療です。成功率を高めるためには、
正確な診断 → 無菌的処置 → 根管内の洗浄・消毒 → 立体的な封鎖 → 再感染を防ぐ修復
という流れを、十分な精度と再現性で実行する必要があります。
ところが現実には、治療に必要な時間や工程を確保できないと、どこかで「省略」や「妥協」が生じ、再発・再治療につながりやすくなります。
当院が自費専門である最大の理由は、歯を残すために必要な工程を、症例に応じて確実に行うためです。

保険治療と自費治療の違いは「質」だけではなく「設計自由度」です

誤解されがちですが、保険診療が「悪い」という意味ではありません。保険診療は、国が定めた枠組みの中で、広く国民が一定水準の医療を受けられるよう設計された制度です。
ただし歯内療法のように、症例ごとの差が大きく、工程数が増えやすい治療では、制度上の制約が臨床結果に影響することがあります。

  • 症例に応じて治療時間を十分に確保しにくい
  • 複雑根管・再治療・偶発症などで工程が増えても、治療設計の自由度が限られる
  • 設備・材料・補助器具の選択が「必要性」だけでなく「制度上の枠」に影響されやすい

自費診療では、これらの制約を受けにくく、診断・工程・材料・時間配分を症例に合わせて最適化できます。
当院は、歯内療法に特化した専門院として、その「設計自由度」を最大限に活かし、歯の長期保存を目的とした治療を提供します。

当院が自費専門にすることで実現していること

当院では、根管治療を「通院回数をこなす処置」ではなく、歯を残すための医療行為として捉えています。そのために、以下の点を治療設計に組み込みます。

1)診断に十分な時間をかける(必要な情報を揃えてから治療する)

痛みの原因が本当に歯内由来なのか、再治療が必要なのか、外科的歯内療法の適応なのか、あるいは保存が困難なのか――
ここを誤ると、どれほど丁寧な処置をしても治りません。自費専門にすることで、初診時から診断の質を最優先し、必要な検査・評価・説明の時間を確保できます。

2)無菌的処置を徹底する(再感染の最大要因を潰す)

根管治療は「感染症の治療」です。根管内に新たな細菌を入れないこと、残存細菌を減らすこと、再侵入を防ぐことが本質です。
当院では、無菌的処置を軸に治療工程を設計し、治療中の汚染リスクを最小化する方針で臨みます。

3)難症例・再治療に必要な工程を省略しない

再治療や難治症例では、見逃された根管、根管内の段差(レッジ)、穿孔、破折器具、根尖病変の複雑化など、治療難度を上げる要素が重なります。
当院は歯内療法に特化しているため、こうしたケースを前提に、工程を省略せずに治療設計を行います。

4)治療に必要な設備・器具・材料を「症例基準」で選ぶ

根管治療の結果は、術者の技術だけでなく、視野・診断・器具・材料の組み合わせで大きく変わります。
自費専門だからこそ、症例ごとの最適解を優先し、治療のための設備投資や材料選定を継続的に行うことができます。

「短期集中=雑」ではありません ― 通院回数より“治療設計”が重要 ―

自費診療では「回数が少ない」「短期で終わる」というイメージを持たれることがありますが、重要なのは回数ではなく、必要な工程が確実に実行されているかです。
当院では、症例の状態に応じて、1回あたりの治療時間を十分に確保し、必要な工程を組み立てたうえで、通院計画を設計します。
「ただ早い」治療ではなく、再治療になりにくいことを最優先に考えます。

保険治療を否定しない上で、当院が担う役割

保険診療は日本の医療を支える重要な仕組みであり、多くの治療が保険で成立しています。
一方で、歯内療法の中には「一般的な枠組み」では対応が難しい領域が存在します。
当院は、まさにその領域――

  • 再治療が必要な歯
  • 難治性の根尖病変や瘻孔を伴うケース
  • 偶発症(穿孔・破折器具など)を含む難症例
  • 抜歯と判断されがちな歯の「保存可能性」を最後まで検討したいケース

に対し、歯内療法専門として診断と治療を担当し、歯を残す選択肢を提示することが役割だと考えています。

当院の考え

自費は“高い治療”ではなく、“設計できる治療”

自費診療は、単に高額な治療を提供することではありません。
歯を残すために必要な工程を、症例に合わせて設計し、確実に実行できる環境を整えること――
それが当院が自費専門である理由です。
初診では、現在の状態と治療選択肢を丁寧に整理し、費用・期間・見込みを含めてご説明します。
「抜歯しかない」と言われた歯であっても、根拠があれば保存の可能性を検討しますので、まずはご相談ください。