歯髄再生療法

当院では「歯髄血管再生療法(パルプ・リバスクラリゼーション)」という治療法を行っています。歯髄血管再生療法(パルプ・リバスクラリゼーション)は、虫歯や外傷によって歯髄(歯の神経)が死んでしまった歯に対し、根管内に自分自身の血流と幹細胞を呼び込み、失われた組織を再生させる治療法です。

特に根尖が閉じていない「歯根未完成歯」において、従来の根尖誘導法(アペキシフィケーション)では成し得なかった「歯根の肥厚」と「伸長」を促進できる点が、最大の臨床的意義となります。

組織再生のメカニズム ~ セルホーミング・ストラテジー

本療法は、組織工学の三要素である「細胞(Stem Cells)」「足場(Scaffold)」「成長因子(Growth Factors)」を、生体内の反応を利用して根管内に再現します。

  • 徹底した化学的洗浄: 器具による物理的切削を最小限に抑え、薬剤(NaOCl/EDTA等)を用いて根管内を高度に無菌化します。
  • 自己血液による足場形成: 根尖部を刺激して意図的な出血を促し、根管内に血餅(Blood Clot)を形成。これが幹細胞の移動を助ける足場となります。
  • 生体親和性材料による封鎖: MTA(Mineral Trioxide Aggregate)等のバイオセラミック材料で密閉し、再生環境を保護します。

リバスクラリゼーションの適応とメリット

全ての症例に適応できるわけではありませんが、特に若年層の患者様において極めて高い有効性を発揮します。

主な適応症

  • 外傷や中心結節の破折による歯根未完成永久歯の歯髄壊死
  • 根尖が開いた状態の感染根管

本療法の臨床的利点

  • 歯根の強化: 象牙質壁が厚くなることで、将来的な歯根破折のリスクを最小化します。
  • 防御機能の回復: 再生された組織が免疫応答を担い、再感染に対する抵抗力を持ちます。
  • 低侵襲: 外科的なアプローチを避け、生体本来の治癒力を最大限に引き出します。

専門医による精密な術後管理

リバスクラリゼーションの成功には、高度な無菌的環境下での操作と、長期にわたる精密な経過観察が不可欠です。臨床的な成功(症状の消失)だけでなく、エックス線写真やCBCTによる生物学的な成功(歯根の成長確認)を厳格に評価し、最適な予後管理を提供します。

歯髄再生療法をご検討の方へ

「神経を抜くしかない」と診断された未完成永久歯において、歯髄再生療法(リバスクラリゼーション)は歯の寿命を左右する重要な選択肢です。この治療の最大の特徴は、単に痛みを抑えるだけでなく、歯根の成長を再開させ、歯本来の強度を取り戻せる点にあります。大学病院での豊富な臨床実績に基づき、精密な無菌処置と最新のエビデンスをもって、お子様の将来を見据えた「残すための治療」を全力でサポートいたします。

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