何もしなくても歯が痛い
「じっとしていても歯が痛む」「夜になると何もしなくてもズキズキする」「食事や冷たい刺激がなくても痛みが続く」―― このような自発痛は、歯の内部(歯髄)や根の先で炎症が進行しているサインであることが多く、歯内療法(根管治療)が必要な状態に移行している可能性が高い症状です。一時的に痛みが落ち着いても、原因が解決していなければ再燃・悪化することがあるため、早期の原因特定と適切な治療判断が重要になります。
「何もしなくても痛い」状態の特徴
何もしていないのに痛みが出る場合、炎症による内圧の上昇や神経の過敏化が関与していることが多く、痛みの性質は比較的強く、生活への影響も大きくなりがちです。特に次のような特徴がある場合は、歯内疾患が進行している可能性があります。
- 安静時でもズキズキ・ジンジンと痛む
- 夜間や横になると痛みが強くなる
- 痛み止めが効きにくい、効果が短時間
- 痛む場所がはっきりしない、広がる感じがある
- 数日前から違和感があり、徐々に痛みが強くなった
何もしなくても痛くなる主な原因
自発痛は、歯の内部や根の先で炎症が一定レベルを超えたときに起こりやすく、原因の多くは歯内療法の対象となる病態です。以下に代表的な原因を挙げます。
1)急性歯髄炎(神経の炎症)
深いむし歯や亀裂、過去の治療による刺激などで歯髄(神経)に強い炎症が起こると、何もしなくてもズキズキ痛む自発痛が生じます。特に夜間痛や温かい刺激で悪化する痛みは、歯髄炎の典型的な症状です。炎症の程度によっては、神経を保存できる可能性が残る場合と、根管治療が必要になる場合があります。
2)急性根尖性歯周炎(根の先の炎症)
歯髄が壊死し、感染が根の先まで及ぶと、根尖部で炎症が起こり、何もしていなくても持続的な痛みや、歯が浮いたような感覚が出ることがあります。初期は噛むと痛い程度でも、急性化すると安静時痛や腫れを伴うことがあります。
3)根管治療後の再感染・急性発作
過去に神経を取った歯でも、根管内に細菌が残っていたり、詰め物・被せ物の隙間から再感染が起こると、急に何もしなくても痛み出すことがあります。「治療してある歯だから安心」と思って放置すると、腫れや膿につながることがあります。
4)歯の亀裂・破折に伴う歯髄刺激
歯に目に見えない亀裂があると、細菌や刺激が歯髄に伝わりやすくなり、自発痛として現れることがあります。症状が不規則で、痛みが出たり引いたりするのが特徴です。亀裂の位置や深さによっては、歯の保存可否に大きく影響するため、慎重な診断が必要です。
放置すると起こりやすい経過
何もしなくても痛い状態は、すでに炎症が進行している段階であることが多く、放置すると次のような経過をたどる可能性があります。
- 痛みが一時的に消え、無症状のまま病変が拡大
- 突然、歯ぐきや顔が腫れる
- 膿がたまり、フィステル(排膿路)が形成される
- 外科的歯内療法や抜歯が必要になる可能性が高まる
当院で行う診断の考え方
「何もしなくても痛い」症状では、原因歯の特定と病態の見極めが最重要です。当院では、症状の経過、臨床検査、画像診断を組み合わせ、根管治療が本当に必要か、保存の可能性はどの程度かを慎重に判断します。痛みだけを抑える処置ではなく、再発しない治療設計を重視しています。
主な検査内容
- 詳細な問診(痛みの出方・時間帯・誘因)
- 歯髄診(冷温刺激・電気診)
- 打診・圧痛検査
- レントゲンおよび必要に応じたCT撮影
- 拡大視野下での亀裂・補綴適合評価
原因に応じた治療の選択肢
病態に応じて、神経を残す治療から精密根管治療、再治療、外科的歯内療法まで、最も歯の寿命にとって有利な選択肢を検討します。当院は歯内療法専門として、保存の可能性を最大限に引き出す治療を行います。
生活歯髄療法(適応がある場合)
炎症が可逆的な段階であれば、神経をすべて取らずに保存できる可能性があります。成功には適切な診断と無菌的処置、精密な封鎖が不可欠です。
精密根管治療
感染が歯髄・根管内に及んでいる場合、根管内の感染源を除去し、再感染を防ぐ処置を行います。当院では、再発リスクを最小化する治療工程を重視しています。
再根管治療・外科的歯内療法
再感染や難治性病変がある場合、再根管治療や外科的歯内療法を検討します。抜歯以外の選択肢が残るかどうかを含め、事前に十分な説明を行います。
受診の目安
何もしなくても痛い症状は、歯からの強い警告サインです。痛みが数日続く、夜間痛がある、痛み止めが効きにくい場合は、早めの精密診断が歯の保存につながります。不安な症状があれば、我慢せずご相談ください。
