治療途中で放置している歯

「忙しくて通えなくなった」「痛みが引いたので中断した」「仮のフタのまま何ヶ月(何年)も経った」―― 歯科治療の中断は珍しいことではありません。しかし、特に根管治療(神経の治療)や深いむし歯治療の途中で放置した歯は、症状がなくても内部で感染が進行し、ある日突然強い痛み・腫れ・膿・発熱につながることがあります。当院は歯内療法(根管治療)に特化した自由診療専門クリニックとして、「中断歯を安全に再開するための診断」と「再治療の成功率を高める設計」を重視しています。

なぜ「途中で止まった歯」はリスクが高いのか

治療途中の歯は、歯の内部が無防備な状態になっていることが多く、仮封(仮のフタ)や仮歯は長期使用を前提に作られていません。その結果、唾液や細菌が侵入しやすくなり、根管内・歯の内部が再感染を起こしやすくなります。痛みがない期間があっても、感染が“静かに”進むことがあるため注意が必要です。

よくある「放置パターン」

  • 仮のフタ(仮封)のまま、受診が途切れている
  • 根管治療の途中で中断し、薬だけ入った状態が続いている
  • 被せ物の前の土台(コア)までで止まっている
  • 仮歯のまま何ヶ月も(何年も)経っている
  • 途中で痛みが出て、怖くなって通えなくなった
  • 他院で治療が止まり、再開先を探している

放置すると起こり得ること

1)再感染(根管内の細菌増殖)

根管治療中の歯は、唾液が入ると細菌が増殖しやすく、治療の前提が崩れます。途中で痛みが引いたとしても、感染が残っていると再び悪化する可能性があります。

2)根尖病変の進行(骨が溶ける)

根の先で炎症が続くと、骨が溶けて病変が大きくなることがあります。病変が大きくなるほど治癒に時間がかかったり、外科的歯内療法が必要になる可能性が高まります。

3)突然の腫れ・膿・強い痛み(急性化)

慢性的に進行していた感染が、疲労・体調不良・咬合負荷などをきっかけに急性化し、顔が腫れる、膿が出る、眠れないほど痛い、といった状態になることがあります。

4)歯質の崩壊・破折(歯を失うリスク)

仮封のまま放置すると、二次むし歯や歯の欠け・破折が起こりやすくなります。とくに神経を取った歯は脆くなりやすく、破折すると保存が難しくなることがあります。

「痛くない」=「大丈夫」ではありません

痛みは炎症の一部のサインに過ぎず、慢性化すると痛みが出にくいこともあります。放置歯は、症状がない間も内部で状況が変化している可能性があるため、“問題が大きくなる前に”現状把握をすることが重要です。

当院での診断(再開前に必ず行うこと)

治療再開は「続きから始めればよい」とは限りません。途中で唾液汚染が起きている場合、根管内の状態を再評価し、必要なら手順を組み直す必要があります。当院では、以下を軸に原因とリスクを整理します。

  • 現在の仮封・修復物の状態 (漏洩リスク、破折リスク)
  • 痛み・腫れ・瘻孔(フィステル)の有無 (症状の経過)
  • レントゲン/必要に応じてCT (根尖病変、根管形態、破折疑い、治療難易度)
  • 歯周組織の状態 (保存可能性の評価)
  • 再治療が必要か/続行可能かの判断

治療方針(ケース別)

ケース1:仮封のまま中断(比較的早期)

中断期間が短く、汚染が軽度と判断できる場合は、適切な隔離と消毒を行い、根管治療を再開できることがあります。ただし、仮封の状態次第で方針は変わります。

ケース2:中断期間が長い/再感染が疑われる

長期間放置されている場合は、根管内の再感染を前提に、根管内の再清掃・再消毒から治療計画を組み直すことが多くなります。成功率を高めるために、診断と隔離・処置手順を重視します。

ケース3:腫れや膿を繰り返す/病変が大きい

炎症が強い場合、非外科的治療で改善するか、外科的歯内療法(歯根端切除など)の適応があるかを評価します。症状のコントロールをしながら、歯を残す可能性を最大化する方針を検討します。

ケース4:破折・保存困難が疑われる

歯根破折や重度の歯質崩壊が疑われる場合は、保存可能性を正確に評価し、“残せる見込みがあるか”を誠実にお伝えします。無理に続けて時間と費用だけがかかることがないよう、判断の根拠を明確にします。

治療を再開するベストなタイミング

基本的には「気づいた今」が最短です。放置期間が長いほど、感染の拡大・病変の増大・破折リスクが高まり、介入が大きくなる傾向があります。痛みがなくても、早めに現状を確認することで、“最小の介入で最大の結果”につながります。

よくある質問(この症状ページ内)

Q. 何年も放置しています。今からでも治せますか?
A. 可能なケースは多くありますが、放置期間が長いほど再感染や病変の進行、破折などのリスクが上がります。
まずは画像診断(必要に応じてCT)で現状を評価し、治療計画をご提案します。
Q. 仮のフタが取れたままです。まず何をすればよいですか?
A. できるだけ早めの受診をおすすめします。唾液汚染が進むほど、治療の難易度が上がることがあります。
応急処置で封鎖し、状態を評価した上で次の手順を決めます。
Q. 途中で痛みが出て怖くて行けませんでした。
A. 治療中の痛みには原因があり、対処法もあります。痛みのコントロールを含めて診断し、
無理のない計画で治療を再開できるようご提案します。