何年も前の根管治療歯が不安
「神経を取った歯が、最近なんとなく気になる」「昔治療した歯の根の先に影があると言われた」「痛みはないけれど、いつ悪くなるのか不安」―― 根管治療(歯の神経の治療)は、その場で症状が落ち着いても年単位で状態が変化することがあります。しかも、再発のサインは必ずしも“強い痛み”として現れるとは限りません。当院では歯内療法(根管治療)に特化し、過去の根管治療歯の「今の状態」を正確に評価した上で、「経過観察でよい歯」と「再治療を急ぐべき歯」を論理的に仕分けます。
根管治療歯は「時間が経つほど不安が出やすい」理由
根管治療歯は、歯の内部の神経・血管が失われ、歯としての“感覚”が鈍くなります。そのため、トラブルが起きても痛みが出にくい一方、内部では感染や破折が進行しているケースがあります。また、過去の治療精度や当時の設備環境により、根管内に細菌が残ったまま封鎖されている場合もあります。
「不安」を感じるときに多いサイン
- 噛むと少し違和感がある/鈍い痛みがある
- 疲れた時だけ、うずくような感じが出る
- 歯ぐきが時々ムズムズする/押すと違和感
- 歯ぐきにニキビのようなもの(瘻孔(フィステル))が出たり消えたりする
- レントゲンで「根の先に影(透過像)がある」と言われた
- 被せ物が古くなり、すき間や二次むし歯が心配
- 他院で「抜歯かも」と言われたが判断根拠が不明
原因として多い3つのパターン
1)根管内の再感染(封鎖不良・二次むし歯)
被せ物や詰め物の劣化、二次むし歯、歯のヒビ(クラック)などにより、唾液や細菌が根管内へ侵入すると再感染が起こります。「治療したはずなのに再発する」典型原因のひとつです。
2)未処置の根管(見落とし根管・複雑形態)
大臼歯などは根管形態が複雑で、当時の条件では見つけにくい根管が残っていることがあります。見落とし根管が感染源として残ると、時間差で根尖病変が形成されます。
3)歯根破折・クラック(根管治療歯の重大リスク)
神経を取った歯は脆くなりやすく、噛む力・歯ぎしりなどで歯根破折が起こることがあります。破折は保存可能性に関わるため、早期の評価が重要です。
「影がある=すぐ治療」ではありません
レントゲン上の透過像(影)は、炎症の活動性や病変の性質によって意味が変わります。重要なのは、痛みの有無だけでなく、病変が“今も活動しているか”を見極めることです。当院では、症状・臨床所見・画像所見を統合し、再治療の要否を判断します。
当院で行う評価(「今の状態」を確かめるために)
何年も前の根管治療歯は、過去の処置内容が不明なケースも多いため、現時点の状態を“再現性のある方法”で評価することが要点です。
- 症状の整理(いつ・どんな時に・どの程度)
- 咬合(噛み合わせ)と歯ぎしり等の負荷評価
- 歯周組織の評価(限局性ポケット、瘻孔、圧痛)
- レントゲン評価/必要に応じてCT(根尖病変、根管形態、破折疑い)
- 修復物(被せ物)の適合、二次むし歯の評価
判断の分岐:再治療が必要なケース/経過観察でよいケース
再治療を検討すべきケース
- 痛み・腫れ・フィステルがある(活動性の感染が疑われる)
- 病変が拡大傾向/症状と画像所見が一致する
- 被せ物の適合不良や二次むし歯が疑われる
- 見落とし根管や不十分な根管充填が強く疑われる
経過観察が適することもあるケース
- 症状がなく、画像上も安定している
- 過去病変の治癒痕(瘢痕)などが疑われ、活動性が低い
- 修復物の封鎖が良好で、感染ルートが見当たらない
※大切なのは「放置する」ではなく、根拠のあるフォロー計画(観察項目・頻度)を立てることです。
再治療が必要になった場合の考え方
再根管治療は、初回治療より難易度が上がることが多く、除去すべき材料や段差、穿孔、破折器具など、さまざまな要因が絡みます。だからこそ当院では、治療の“やり直し”ではなく、成功率を高めるための再設計として、診断から手順までを組み直します。
このページ内のよくある質問
- Q. 痛みがないのに診てもらう意味はありますか?
- A. はい。根管治療歯は痛みが出にくい一方、内部の感染や破折が進行していることがあります。
早期に現状把握をすることで、介入が小さく済む可能性が高まります。 - Q. 「根の先の影」は必ず治療が必要ですか?
- A. 影の意味はケースで異なります。活動性の炎症か、治癒過程・瘢痕かなどを評価し、
症状・所見・画像を統合して判断します。 - Q. 抜歯と言われましたが、残せる可能性はありますか?
- A. 残せるケースもありますが、破折や保存困難の条件がある場合は難しいこともあります。
当院では保存可能性を“根拠”とともに評価し、過度な延命にならないよう誠実にお伝えします。
