外傷歯の歯髄壊死
転倒や衝突、スポーツ外傷などによって歯に強い衝撃が加わると、表面上は問題がなく見えても、歯の内部では歯髄(神経・血管)が徐々にダメージを受け、壊死に至ることがあります。外傷歯の歯髄壊死は発症までに時間がかかることも多く、適切な診断と長期的視点での管理が不可欠です。
外傷歯で歯髄壊死が起こる理由
外傷により歯が受けた衝撃は、歯髄へ栄養を供給する血管を損傷させます。その結果、歯髄が徐々に虚血状態となり、数週間から数年をかけて壊死に至ることがあります。
- 歯を強く打った
- 歯が一時的にグラついた
- 歯の位置がずれた(脱臼・亜脱臼)
- 歯冠破折を伴う外傷
症状の特徴
外傷歯の歯髄壊死は、
初期にはほとんど症状が出ないことが多いのが特徴です。
- しみる症状が徐々になくなる
- 歯の色が暗く変色してくる
- 噛むと違和感が出る
- レントゲンで根尖病変が見つかる
診断のポイント
外傷歯では、一時的な神経反応の低下と壊死を慎重に見極める必要があります。当院では歯内療法専門の視点から、以下を総合的に評価します。
- 外傷の既往と受傷時の状況
- 歯の変色や歯肉の状態
- 歯科用CTによる根尖部・歯根の評価
- 経時的変化を踏まえた診断
治療方針
外傷歯の歯髄壊死が確認された場合、感染が進行する前に適切な歯内療法(根管治療)を行うことが重要です。特に若年者では歯根の発育状態を考慮した治療戦略が求められます。
当院での対応
- マイクロスコープ下での精密根管治療
- 感染拡大を防ぐための徹底した洗浄・消毒
- 歯根未完成歯では保存を重視した治療選択
- 必要に応じた外科的歯内療法
放置した場合のリスク
外傷歯の歯髄壊死を放置すると、根尖病変の形成、歯根吸収、歯の保存不能といった深刻な結果につながることがあります。外傷歴がある歯は、症状がなくても定期的な評価が重要です。
