ラバーダム防湿の重要性

ラバーダム防湿とは、治療する歯のみをゴム製シートで隔離し、口腔内から完全に分離した状態で処置を行う方法です。歯内療法においてラバーダム防湿は、治療の成功率を根本から左右する最重要要素のひとつであり、「できれば行う処置」ではなく「必須条件」といえます。

なぜラバーダム防湿が必要なのか

根管治療の本質は、根管内の感染をいかに制御できるかにあります。しかし、ラバーダムを使用しない場合、唾液中の細菌が治療中に根管内へ侵入するリスクを常に伴います。これは、どれほど丁寧な洗浄・消毒を行っても、成功率を大きく低下させる要因となります。

  • 唾液中細菌による再汚染の防止
  • 治療野の完全な無菌化
  • 薬液・器具の誤飲防止
  • 術者の集中力と操作精度の向上

ラバーダムを使用しない治療のリスク

ラバーダムを使用しない根管治療では、目に見えないリスクが積み重なります。

  • 治療中に細菌が再侵入する
  • 洗浄・消毒の効果が相殺される
  • 治療後の再発リスクが高まる
  • 薬液の口腔内漏出による事故リスク

世界標準としてのラバーダム防湿

欧米をはじめとする歯内療法の国際ガイドラインでは、根管治療時のラバーダム防湿は標準的必須手技として位置づけられています。これは、数多くの臨床研究により、ラバーダム使用が治療成功率を有意に高めることが示されているためです。

当院におけるラバーダム防湿の考え方

当院では、ラバーダム防湿を「症例に応じて使い分ける選択肢」ではなく、すべての歯内療法における基本条件として徹底しています。マイクロスコープ・CT診断・洗浄技術と並び、成功率を支える土台となる手技です。

精密治療との相乗効果

ラバーダム防湿により得られる無菌的環境は、マイクロスコープ下での精密操作を最大限に活かします。視野の安定、湿潤のコントロールは、微細構造への正確なアプローチを可能にします。

患者様が知っておくべきこと

ラバーダム防湿は、見た目には地味で、治療結果をその場で実感しにくい処置かもしれません。しかし、数年後・十数年後の歯の状態に大きな差を生む「見えない決定打」です。

歯科医師の先生方へ

再治療症例の多くは、初回治療時に十分な防湿環境が確保されていなかったケースです。当院では、ラバーダム防湿を前提とした治療のみを行い、紹介元の先生の治療を否定することなく原因を構造的に分析し、再発防止に努めています。