再治療の成功率と限界
「もう一度、根管治療をやり直せば治るのでしょうか?」再治療を検討される患者さま、また紹介を検討される歯科医師の先生から、最も多く寄せられる問いです。再根管治療は有効な選択肢である一方で、成功率には明確な“限界”が存在します。本ページでは、再治療の現実を正確にお伝えします。
再治療とは何か
再治療(再根管治療)とは、過去に行われた根管治療を一度リセットし、再度、感染源の除去・洗浄・封鎖を行う治療です。初回治療よりも難易度は高く、診断力と技術力が強く求められます。
再治療の成功率について
文献的には、再根管治療の成功率は初回治療より低下することが示されています。ただし、その数値は「どのような環境で治療されたか」によって大きく変わります。
- 初回治療:おおよそ 85〜95%前後(条件が良い場合)
- 再根管治療:おおよそ 60〜80%前後(条件により変動)
重要なのは「数字」そのものではなく、なぜ成功率が下がるのかを理解することです。
成功率が低下する主な理由
- 根管形態がすでに改変されている
- 未処置根管・側枝・イスムスの取り残し
- ポスト・コアによるアクセス制限
- 器具破折・穿孔などの偶発症
- バイオフィルムの成熟・耐性化
- 歯根破折・クラックの併発
再治療で「できること」と「できないこと」
再治療は万能ではありません。当院では、可能性と限界を明確に分けて説明します。
再治療で改善が期待できるケース
- 未処置根管が原因と考えられる場合
- 洗浄・封鎖不良が主因の再感染
- 診断不足により見逃されていた病変
再治療の限界が明確なケース
- 垂直性歯根破折が存在する場合
- 広範な歯質喪失により保存不可能な歯
- 外科的歯内療法を併用しても予後不良と判断される場合
外科的歯内療法との関係
再治療が困難な場合、歯根端切除術などの外科的歯内療法が選択肢となることがあります。ただし、これも無条件に適応できる治療ではなく、根尖周囲骨・歯根形態・全身状態などを総合的に判断します。
当院の考える「成功」の定義
当院では、単に痛みが消えた状態を成功とは定義していません。
- 症状の消失
- 画像上での病変縮小・消失
- 長期的に安定して機能すること
これらを総合して、初めて「治癒」と判断します。
再治療を検討する前に大切なこと
再治療は「最後のチャンス」になることもあります。だからこそ、初めに正確な診断と現実的な説明を受けることが何より重要です。可能性を過度に楽観視せず、しかし安易に抜歯を選ばない。そのバランスこそが、専門性です。
