側枝・イスムスへの対応

根管治療が「きちんと行われたはずなのに再発する」原因の多くは、側枝(そくし)やイスムスといった複雑構造への対応不足にあります。これらはレントゲンや肉眼では把握しづらく、一般的な治療では“存在自体が見逃されやすい領域”です。当院では、側枝・イスムスを前提とした診断と処置を歯内療法の標準として位置づけています。

側枝・イスムスとは

根管は一本の単純な管ではなく、多数の分岐や連結構造を持つ立体的空間です。

  • 側枝:主根管から枝分かれした細い根管
  • イスムス:複数の根管同士をつなぐ帯状構造

これらの構造内には細菌や壊死組織が残存しやすく、未処理のまま根管充填を行うと、治療後に炎症が再燃するリスクが高くなります。

なぜ側枝・イスムスは問題になるのか

側枝・イスムスは、ファイルによる機械的清掃がほぼ不可能な領域です。そのため、以下の問題が生じます。

  • 細菌・バイオフィルムが温存されやすい
  • 再根管治療・外科的歯内療法の原因となる
  • 「治療済みなのに治らない」状態を招く

CT診断による立体的把握

側枝やイスムスの存在は、歯科用CT(CBCT)によって初めて明確になるケースが少なくありません。当院では、術前にCTを用いて根管形態を三次元的に解析し、側枝・イスムスの存在を前提とした治療計画を立案します。

洗浄・消毒による対応が鍵

側枝・イスムスへの対応の本質は、「削る」ことではなく洗浄・消毒でどこまで到達できるかにあります。

  • 次亜塩素酸ナトリウムによる化学的洗浄
  • EDTAによるスメア層除去
  • 超音波・音波による洗浄液活性化
  • レーザー活性化洗浄(LAI)

レーザー活性化洗浄(LAI)と側枝

Er:YAGレーザーを用いたLAIは、洗浄液中に発生する蒸気泡の運動により、側枝・イスムス内部まで洗浄液を到達させる可能性を高めます。当院では、安全性と有効性を十分に評価したうえで、難治症例を中心にLAIを活用しています。

根管充填時の考え方

側枝やイスムスは、すべてを物理的に充填できるわけではありません。重要なのは、感染源を十分に減少させ、生体が治癒できる環境を整えることです。当院では、バイオセラミックシーラーなど生体親和性の高い材料を用い、側枝領域の封鎖性を高める戦略をとっています。

当院が側枝・イスムスを重視する理由

側枝・イスムスへの対応は、歯内療法の成否を分ける「見えない分岐点」です。ここを理解し、対処できるかどうかが、一般的な根管治療と専門的歯内療法の決定的な違いと言えます。

患者様へ

「何度も治療したのに治らない歯」には、目に見えない原因が潜んでいることがあります。当院では、その原因を科学的に突き止め、最後まで向き合います。