バイオセラミックシーラー

バイオセラミックシーラーは、近年の歯内療法において注目されている生体親和性と封鎖性を高次元で両立した根管充填用材料です。従来のシーラーとは設計思想そのものが異なり、「根管を詰める材料」から「治癒環境を整える材料」へと進化しています。

バイオセラミックシーラーとは

バイオセラミックシーラーは、カルシウムシリケート系を主成分とする材料で、水分と反応して硬化し、高い生体親和性と封鎖性を発揮します。MTAと同じ系譜を持ちながら、根管充填に最適化された性質を備えています。

  • 高い生体親和性
  • 優れた封鎖性(マイクロリーケージ抑制)
  • アルカリ性環境による抗菌性
  • 硬組織形成を促す性質

従来型シーラーとの違い

従来のレジン系・亜鉛華ユージノール系シーラーは、時間経過による劣化や溶解が問題となることがありました。バイオセラミックシーラーは、これらの課題を克服する目的で開発されています。

  • 長期安定性が高い
  • 湿潤環境への耐性
  • 組織反応が穏やか
  • 根尖部封鎖性の向上

バイオセラミックシーラーの適応

バイオセラミックシーラーは、特に以下のような症例で有用とされています。

  • 精密根管治療
  • 再根管治療
  • 根尖病変を伴う歯
  • 複雑な根管形態を有する歯

「良い材料=成功」ではない理由

バイオセラミックシーラーは優れた材料ですが、適切な診断・形成・洗浄が行われていなければ、その性能は十分に発揮されません。根管治療の本質は、あくまで感染源の徹底的除去にあります。

当院におけるバイオセラミックシーラーの位置づけ

当院では、バイオセラミックシーラーを「最新材料だから使う」のではなく、症例ごとに適応を見極めたうえで選択します。MTAセメントとの違い・使い分けを明確にし、長期予後を最優先に判断します。

マイクロスコープ下での充填

バイオセラミックシーラーの封鎖性を最大化するため、当院ではマイクロスコープ下で根管充填操作を行います。過剰充填や不完全封鎖を防ぎ、再発リスクを最小限に抑えます。

MTAセメントとの違い

MTAは主に「修復・封鎖・保存」を目的とした材料であり、バイオセラミックシーラーは「根管充填」に特化した材料です。両者は競合するものではなく、適材適所で使い分けることで、歯の保存可能性を最大化します。

患者様へ

材料名が先行して語られることがありますが、本当に重要なのは、その材料を選択する理由と使い方です。当院では、治療内容・材料選択について専門的視点から丁寧にご説明します。