マイクロスコープ下根管治療

マイクロスコープ下根管治療とは、歯科用実体顕微鏡(マイクロスコープ)を用いて、根管内部を高倍率で直接確認しながら行う精密歯内療法です。根管治療は「見えるかどうか」で結果が大きく変わる治療であり、マイクロスコープの使用は、もはや特殊ではなく成功率を左右する本質的要素といえます。

根管治療は「見えない治療」だった

従来の根管治療は、肉眼や感覚に頼らざるを得ず、実際には見えない状態で処置が行われてきました。しかし根管内には、数百ミクロン単位の分岐や段差、亀裂、異物が存在します。これらを確認できないことが、再発や治癒不全の大きな原因となっていました。

マイクロスコープで何が変わるのか

  • 未発見の追加根管(MB2など)の発見
  • 側枝・イスムスの確認
  • 破折ファイルや異物の正確な把握
  • 穿孔部位・亀裂の早期発見
  • 感染源の取り残し防止

「拡大視野」がもたらす治療精度

マイクロスコープは、肉眼の数十倍の拡大視野を提供します。これにより、術者は「手探り」ではなく「確認しながら」処置を進めることができ、治療の再現性と安全性が飛躍的に向上します。

マイクロスコープ下治療が特に重要なケース

  • 再根管治療
  • 複雑な根管形態を有する歯
  • 過去に治療を繰り返している歯
  • 破折器具・穿孔を伴う症例
  • 外科的歯内療法を回避したい歯

当院のマイクロスコープ下根管治療の特徴

歯内療法専門医による常時使用

当院では、マイクロスコープを「必要な時だけ使う装置」ではなく、すべての根管治療で常時使用する標準装備としています。拡大視野での治療を前提に、診断・処置・評価を一貫して行います。

CT診断との連携

歯科用CTによる三次元診断と、マイクロスコープによる拡大視野を組み合わせることで、見落としのない治療戦略を構築します。

外科的歯内療法への応用

マイクロスコープは、非外科的治療だけでなく歯根端切除術などの外科的歯内療法においても高い精度を発揮します。

「マイクロスコープがある」だけでは不十分

重要なのは、装置を“持っていること”ではなく、それを確実に使いこなす専門性です。
多くの歯科医院でもマイクロスコープの導入は進んでいますが、十分に活用できる歯科医師は限られ、実際の使用頻度が低いケースも少なくありません。
当院では、大学・学会・研究の場で培った経験を基盤に、マイクロスコープ下での精密治療を歯内療法の中核技術として位置づけています。
一般に、一つの手技を確実に身につけるには長い時間が必要で、「1万時間の法則」と表現されることもあります。院長は、マイクロスコープが広く普及する以前の2005年から、臨床の第一線で顕微鏡を用いた歯内療法に取り組み、20年にわたり顕微鏡を専門に扱う講座で研鑽と指導を積み重ねてきました。