小児・若年者の歯髄壊死
小児・若年者における歯髄壊死は、むし歯だけでなく外傷や発育途中の歯の特性が深く関与する、非常に専門性の高い診断・治療領域です。成長期の歯では、歯根が未完成であることが多く、大人と同じ治療を行うことが、必ずしも最善とは限りません。歯の「一生」を見据えた判断が求められます。
小児・若年者で歯髄壊死が起こる主な原因
成長期の歯は血流が豊富で回復力が高い一方、外的刺激に対して脆弱な側面もあります。以下のような要因で歯髄壊死に至ることがあります。
- 転倒・スポーツなどによる歯の外傷
- 深いう蝕による歯髄感染
- 外傷後に無症状で経過した歯
- 矯正治療や咬合力による影響
症状の特徴と見逃されやすさ
小児・若年者の歯髄壊死は、痛みを訴えないケースも多く、気づいた時には根尖病変が進行していることがあります。
- 歯の色が徐々に暗くなる
- しみる反応が消失する
- 歯ぐきの腫れや瘻孔(フィステル)形成
- レントゲン・CTで病変が見つかる
診断で特に重要なポイント
成長期の歯では、一時的な歯髄反応の低下と壊死の鑑別が極めて重要です。当院では歯内療法専門医の視点から、将来の歯根発育まで考慮した診断を行います。
- 歯根の発育段階(未完成・完成)
- 外傷歴や治療歴の詳細な確認
- 歯科用CTによる三次元評価
- 経過観察を含めた慎重な判断
治療方針|「削る・取る」前に考えること
小児・若年者の歯髄壊死では、単純な根管治療ではなく、歯の成長と将来予後を最大限に守る治療が重要です。
当院での主な治療選択
- 歯髄保存療法(適応可能な場合)
- アペキシフィケーション(根未完成歯)
- 歯髄血管再生療法(パルプ・リバスクラリゼーション)
- マイクロスコープ下での精密根管治療
放置した場合のリスク
成長期に歯髄壊死を放置すると、歯根の成長停止、歯根破折、将来的な抜歯リスクが高まります。早期介入が、その歯の一生を大きく左右します。
保護者の方へ
「痛がっていないから大丈夫」と思われがちな歯でも、外傷歴がある場合や変色が見られる場合には、一度、歯内療法専門の評価を受けることをおすすめします。将来後悔しないための診断と治療をご提供します。
